少しまえの質問記事
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この質問の方からコメントとメールを頂きました。
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こんにちは。 先日は酸熱トリートメントの質問にお答えいただいてどうもありがとうございました。
実はあれから、後輩に詳しいことを聞こうとパンフレットの画像を送ってもらいまして
こちらは画像の添付が出来ないので
shop@do-s.jp
のメールへ送らせていただきました。
ご返答の的確な内容通り、どうやら酸熱トリートメントとは無関係のものだったようで、最初の聞き間違えから確認せず質問してしまい申し訳ありませんでした。
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先日、酸熱トリートメントの改良版と思しき商品について質問させていただいた ◯◯◯◯◯◯の◯◯と申します。 早速のご返答ありがとうございました。
こちらから送った情報が少なすぎて判断できないと思いましたが、それにしてもご返答の内容からは増々謎が深まるばかりだと思ったので、その後あらためて後輩にパンフレットなどはないかと聞いてみたところ
実は還元剤を使ったパーマだったようなので、質問させていただいた酸熱トリートメントとは無関係だったようです。
還元の補助としてGMTまで使っているようです。
せっかくお忙しい中丁寧に解説いただきましたのに大変失礼しました。
それで、パンフレットの画像を送ってもらいましたので概要として報告させていただきます。
パッと見たところ『S−S結合に近い部分を架橋する』とありますので、髪本来の結合を切る割合はもしかすると低く、架橋がS−S結合よりも不安定なら持ちはどうなのか?
あと、健康毛に対してもアルカリで切れるイオン結合を使っていないので、しっかりとしたカールが出るのかどうか? といったところが疑問ですが、世界初で特許を取った新成分ということらしいです。
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ほいほい!
>パッと見たところ『S−S結合に近い部分を架橋する』とありますので、髪本来の結合を切る割合はもしかすると低く、架橋がS−S結合よりも不安定なら持ちはどうなのか?
あ〜 このパンフレットにはフマル酸とシステアミンのミックスって書いてあるよね〜
フマル酸ってのはジカルボン酸やマレイン酸、ジマレイン酸などに似てる成分なんだけど、最近はグリオキシル酸を混ぜて使うメーカーさんとかも出てきたんで多分後輩君はそこらで酸熱トリートメントの改良版?と勘違いしたのかもね?
フマル酸は食品添加物としてクエン酸の代わりに使われてる比較的単純な構造のもんだね。
そ〜いえば ちょい話は変わるけど・・・
酸熱トリートメントのグリオキシル酸と
ブリーチ剤の添加剤でよく使われてるジカルボン酸とかマレイン酸、ジマレイン酸などがごちゃごちゃになってる人が多いんだよね。。。
そこで まず そこらをちょいと整理しておくとね・・・
まず 酸熱トリーメントのグリオキシル酸は こんな感じ
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ダメージホールにグリオキシル酸と一緒に入ったアミノ基同士がくっつくだけなので 元々の髪のシスチンやS-S結合には関係ない。
だから 髪のダメージホールを埋めるだけのトリートメントメニューの一種なんだよね♪
詳しくはこちらの記事を参考にしてね
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髪質改善、酸熱トリートメント、プレックス剤等はどんな仕組みなの?
んで プレックス剤と言われてるものたち・・・実はこれらには大きく二種類があんだけど
たとえば 効果が高いと言われてるジマレイン酸なら
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グリオキシル酸は一緒に浸透したアミノ期同士をくっつけるんだけど、ジマレイン酸はそもそも髪にあるシスティンにくっつく!
しかも ジマレイン酸はこの図のように二つくっつく部分があるのでこんな感じで架橋もできるんだね。
※架橋といっても、S-S結合のように強く結合する訳ではないです。
んで ジカルボン酸やマレイン酸は一つしかくっつくとこがないので単体でシスティンにくっつくだけね。
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ま〜 どれもS-S結合のように強く結合する訳ではなく少し強めに吸着しあう程度だけど、、、
ジマレイン酸やジカルボン酸、マレイン酸等は髪のシステインに吸着するといく優れた特性があるんだよね!
ただね・・・ここで注意しなければいけないのは???
ブリーチなどで髪のS-S結合が切れて出来たシステインにくっつくのは髪の強化やシスティン酸の生成の抑制になつたりととても良いことだけど、、、
パーマや縮毛矯正の2剤前とかで還元剤でS-S結合を切ってる時に使っちゃうと…
2剤でのS-S再結合の邪魔をしかねない!
※実際は還元剤で切断されたシステインにはミックスジスルフィドがついていたりとか、システイン残基とシステイン酸の問題や加温でのランチオニンの増加とか色々難しいお話もあるけど、、、2剤前に酸性になるだけでもS-S再結合の邪魔になるぐらいだからジマレイン酸やジカルボン酸が吸着しただけでも2剤の妨害してることはありえます。
※パーマや縮毛矯正の場合ハリた弾力が出るとかリッジがよく出るなどと言われる場合もありますが、これはS-S結合とか関係なくシステインにマレイン酸やジマレイン酸が吸着してダメージホールが埋まったためです。
ジマレイン酸やジカルボン酸、マレイン酸等はアルカリ領域のほうが働きやすいし、上記のようなS-S再結合の妨害をしかねないので ブローチ剤等に混ぜて使用するのが一番良いんだよね!
ちなみに後輩君の使用してるフマル酸は別名アロマレイン酸ともいうマレイン酸に似てる成分なんだけど、残念ながら異性対でHの位置が全く違うのでマレイン酸のようにシステインに吸着はできないんだよね(汗)
んで 話を戻して 後輩君の特許成分のシステアミンとフマル酸
『S−S結合に近い部分を架橋する』って事だと、マレイン酸やジマレイン酸のようにS-S結合の切断した部分のシステインにつくんじゃないみたいだね・・・
パンフにある図を見ると
酸熱トリーメントのグリオキシル酸のような感じだろうね?
ま〜どんな特許かわからないのでなんとも言えないけど、この薬剤のパンフレットを見る限りではこのフマル酸とシスアミの混合液に大した効果はないと思うし、特許だなんだのとただの宣伝文句に使われてだけのもんだから全く気にしなくていいんじゃない。
ま〜大切なのは・・・
ここの薬剤のメインはpH4とpH5.5の2種類があるんだけど、そもそもこの薬剤にはシステアミン4%にチオグリコール酸2%の還元剤が入ってる。
んでもって このシスアミとチオの1剤に追加で70%もの高濃度GMTを 最大10:1.5の割合で混ぜるんだよね〜!
それって・・・ どう考えても還元剤濃度が12~16%とかの超高濃度だよね・・・(汗)
薬事法だとチオ換算だけど7%ぐらいが合法の限界なんで 2倍ぐらいの高濃度だよね。
酸性でも こんなに高濃度で還元剤が配合されてれば、そりゃそれなりにかかりますよね(笑)
※縮毛矯正だと無理にクセを伸ばそうとジュ〜ジュ〜水抜きアイロンしちゃうよりハイダメージの危険性は少ないでしょう。
ただね、酸性パーマや縮毛矯正をアルカリ性じゃないからってダメージしない!って崇拝する人らも多いけど。。。
◎酸性は髪の内部まで薬剤浸透するので髪の内部まで傷めちゃう(スピエラ・GMTの酸性矯正でビビり毛が多い理由)
◎酸性だと2剤の酸化不足が起こり、S-Sの再結合ができにくく、切れっぱなしのSが多くできてダメージしやすい。
そう 酸性パーマや縮毛矯正は、髪の芯まで傷んで、切れっぱなしのシステインが増加して後々すごく傷んでしまう!
実際はアルカリでのダメージより こっちのほうが深刻だったりします。。。
あと もうひとつ気になった成分が・・・
キューティクル部分のカバー成分で使われてる マレイン酸ポリマー
これは場末のぢ〜ぢもまだ使ったことはないけどあのMr.ハビットのメーカーさんが採用してて、かなり強力な皮膜成分だと聞いたことがあるよ〜
たぶん後輩君が言ってた、ダメージ感がない!ってのはこのポリマーのせいじゃないかと思うよ。。。
このパンフレットでわかるレベルだと・・・
酸性〜弱酸性で還元剤濃度が違法クラスの12~16%ぐらいの高濃度のパーマ&縮毛矯正剤。
かなり強力なポリマー皮膜でコーティングするのでツヤサラになりダメージ感を感じない薬剤!
これだと酸熱トリートメントよりしっかりクセが伸びてツヤサラなのも納得できますよね。
ま〜 前回も書いたけど
もの凄くサラサラでダメージ感のない縮毛矯正なんて世の中にゴロゴロありますからね(笑)
これも その一つなだけだと思うよ♪
酸性パーマや縮毛矯正には、芯までダメージや2剤での酸化が不完全になるので結構心配な面もあるんだけどね・・・強力皮膜で見て触った感じがツヤサラならダメージ感もないからね〜
コメント
こんにちは ジィジ様
いつもブログの方を拝見して勉強させていただいてます
お忙し中と思いますが今回は質問させて頂きたいことがありましてメールさせてもらいました 最近、髪質改善カラーメテオなるものを目にするようになってきたのですがこれはどう言ったものなでしょうか?
自分がみた感じだと巷にある酸熱系なのかなと思っているのですが、お時間がある時にでもご教授いただけたら幸いです。
この度は的確なご回答を丁寧にいただきまして本当にありがとうございました!
ジマレイン酸 ジカルボン酸 マレイン酸 なども併せてとても参考になりましたし、幅広すぎる知識、あらためて恐れ入りました。
蓋を開けてみると、GMTがチオ換算で12~16%も入ってる代物とは恐ろしいですね。
けど、還元剤濃度の概念も知らない美容師が多いので、詳しく解説されない限り自分が何をやってるかも知らずに、軽はずみに臨界点を超えた施術をしてしまうこともありそうで、それによるビビり毛も今後出てくるかもしれませんね。
トリートメントがとれてきた時にどんな手触りになるのか? そういった髪にカールのパーマがかかるのか?
あと、それだけ酸性領域でしっかりと切った結合の再結合は要注意ですね。
やはり魔法の薬はなく、しっかりとタネがあるのだと思いました。
今後も基本を大事に施術をしていきたいと思います。
どうもありがとうございました。