パーマの工程で酸リンスやアシッド剤でチオグリコール酸などの還元剤が除去できるの?
パーマや縮毛矯正の1剤でpka(酸解離定数・イオン化定数)って何か知ってる?
パーマの工程で昔は必ずシャンプー台で中間水洗してチオグリコール酸などの還元剤を除去するように教えられていました。
でも昭和の終わり頃ぐらいから、ロッドも巻いたまま中間水洗をするのは面倒だったからか?
2剤(酸化剤)の前にアシッド剤や酸リンス等で1剤でアルカリ性になった髪を酸性に中和処理をする美容院が増えました。
そして平成になると、また中間水洗をしっかりと行うクリープパーマが登場しました。
ここらへんからか? パーマでの中間水洗とアシッド剤がごちゃごちゃでよくわからなくなっちゃった美容師さんも多くいるみたいですね〜!
【最新の毛髪薬剤理論】美容師が知っておくべき本当のパーマ理論とは?
んじゃ今日は韓国の美容師さんからの質問ね
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パーマ第1剤の処理過程で、毛髪内部の還元が約80%程度進行したと仮定した場合、
pH2〜3台の酸性トリートメントを使用することで毛髪内に残留した還元剤を除去できる
という説が韓国の美容市場で広まっています。
このようなメカニズムは、毛髪科学的に実際に起こり得る領域なのでしょうか?
つまり、酸性処理によってチオグリコール酸やシステアミンなどの残留還元成分が
実際に分解除去されるのか、それとも単にプロトン化や一時的な失活によって
反応性が抑制されているにすぎないのか、
日本での教育・研究の視点からどのように解釈されていますか?
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はいはい!
パーマの還元・酸化の反応理論に日本も韓国もないではっきり言いますが
それ間違ってます!
ま〜15年ぐらい前までは日本の美容師さんも同じように勘違いしてる方も多かったんですけど、これは教育とか解釈っていう次元ではなく、パーマ理論上の事実なのです。
まずね… 韓国の酸性トリートメントっていうのが日本のアシッド剤や酸リンスのようなパーマ1剤でアルカリ性に傾いた毛髪を酸性に中和するような処理剤だとしたらね…
日本の教育とかも全く関係なく、毛髪&パーマ理論的に… アシッド剤は一時的にアルカリを中和するだけで、還元剤の除去とは関係ありません。
アシッド剤で毛髪内に残留したチオやシスアミなどの還元剤を分解や除去は不可能です!
正解をいうとpH2〜3台のアシッド剤で毛髪を酸性にすると、pka(酸解離定数)の関係で一時的にイオン化した還元剤がほぼ無くなってしまい還元反応がストップしてしまうのですが、それを還元剤が分解とか除去されたように勘違いしてるだけですね。
ま〜君のいう「一時的な失活によって反応性が抑制されているにすぎない」というのが正解です。
パーマ理論でのpka(酸解離定数)って何?
まずパーマや縮毛矯正の反応式を理解しないといけない↓
還元剤
↓
RSH ⇄ RS + H+
1剤の反応式
↓
KSSK + RSH ⇄ KSSR + KSH (1)
KSSR + RSH ⇄ RSSR + KSH (2)
酸化反応 ↓
2KSH + O → KSSK + H2O
んでアルカリ性や酸性が関係するのは主にpka、酸解離定数、イオン化定数といわれるものなんだけどね。
代表的な還元剤でいうと1気圧25℃程度でのチオグリコール酸のpkaはpH10.4なんだけど、これはチオの場合はpH10.4の時にイオン化されたチオとイオン化されてないチオが1:1になるって事なんだね。
上記した反応式でいうと還元剤の部分なんだけど↓
そうチオの場合ならpH10.4程度のアルカリ性の時にイオン化されて毛髪のS-S結合を切断する働くチオが約半分ってことなんだ。
pkaとは、イオン化されてない還元剤とイオン化された還元剤が1:1の比率になる時のpHってことなんだね。
って事なんで、日本の薬事法だとハードタイプのph9以上の1剤でも実際には還元力があるイオン化されたチオは3〜4割程度しかないってことなんだね。
それでpH2〜3のアシッド剤なんかつけると、イオン化されて働くチオなんて無くなってしまうんだ!だからパーマの還元反応がストップしてしまう。
でもね… ただ還元する働くチオが無くなっただけで、決して毛髪内部に浸透したチオグリコール酸が分解や除去される訳ではないんだね。
チオグリコール酸などの還元剤が毛髪から除去できるのはブロム酸(臭素酸)や過酸化水素水などのパーマの酸化剤(2剤)で酸化反応した時です。
ちなみに現在のパーマ理論では、酸化剤(パーマ2剤)の前にアシッド剤や酸リンスを塗布してしまうと、S-S再結合の邪魔をしてしまい持ちが悪くなったりヘアダメージが増えてしまうので絶対に行ってはいけません。
詳しく知りたい理美容師さんはこちらの記事で↓
【本当のパーマ理論】パーマ2剤前のアシッド剤が間違いの元です。

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