パーマやストレートパーマ、縮毛矯正の還元剤にシステアミンというものがあります。
このシステアミンは髪の表面付近で多く還元できるのでプリンとしたしっかりカールが作りやすいというメリットがありますが、髪質によっては独特の臭い匂いが残留しちゃうというデメリットもあります。
んじゃ 今日の読者の美容師さんからの質問ね
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こんにちは、また質問失礼します。パーマや縮毛矯正の際のシステアミンについて質問です。
ネットの美容師さんの記事にて システアミンは残留により、傷む。
シスチンが切れっぱなしになるため、チオの方が実は傷まない。←アルカリ度とかph抜きにして原理的に残留するからシスアミは痛みやすく繰り返すとスカスカになるからオススメはできない。
っと聞きましたが、いかがでしょうか?
それは以前のブログ記事であるジチオとミックスの話に通じますか?
またシスアミを使う場合、この残留という問題に対しては傷ませない方法はございますか?
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ふむふむ・・・
システアミンは残留するので髪が傷む?
何を根拠に…(笑)
いったいどこの美容師さんがそんなことを書いてるのかな???
シスアミが残留するから髪が傷む訳じゃないよ!!!
ま〜確かにシステアミンは疎水性が高く髪に吸着しやすいのは確かなのかもしれないけど、ただ未反応で残ったシステアミンが残留するのか?っていうとそうでもないです。
なぜなら基本的に反応せずに残った還元剤はチオにしろシスアミにしろ、ちゃんと2剤で酸化処理をすればほとんど残らないハズだし、、、
もしも?少しぐらい残留したってアシッド処理してればチオもシスアミも後から髪のS-S結合なんてほとんど切る力なんて無いハズだしね。
だからシスアミが残留したから髪が傷む!?っていうのは間違いだと思うよ。
>それは以前のブログ記事であるジチオとミックスの話に通じますか?
ま〜システアミンが残留するから髪が傷む!ってのは間違いだとして、
シスチンが切れっぱなしになるため っていう理由がミックスジスルフィド問題にあるというのなら…
ミックスジスルフィド問題とはパーマ、ストレートパーマ、縮毛矯正の化学式のお話だね。
んじゃ まず反応式を思い出して↓
KSSK + RSH ⇄ KSH + KSSR (1)
KSSR + RSH ⇄ KSH + RSSR (2)
ま〜場末のぢ〜ぢがこの話をしだすと終わりが見えなくなるので(笑)簡単に説明していくとね。
シスアミの場合は名称が変わるけどわかりやすくいうと、RSSR(ジチオ)は簡単に流れ出るので関係なくて、一般的に髪を傷めるのはKSSR(ミックスジスルフィド)だっていうのは理解してるよね。
んでまず、システアミンのミックスちゃんはあまりダメージした感じはしない!
チオグリコール酸のKSSR(ミックスジスルフィド)は親水性で分子量も大きいので髪がボコボコになってダメージするけど、システアミンのKSSRは疎水性で分子量も小さいのであまりヘアダメージした感じはしないんだよね。イメージ的にいうとケラチンに疎水性の高い物質が結合してるんで、どっちかというと修復トリートメントしたみたいな感じだよね(笑)
ただね、、、システアミンは疎水性が高いのでちょいと問題があるんだよね。。。
それはパーマの反応式でいうとこの↓
KSSR + RSH ⇄ KSH + RSSR (2)
2式の反応がチオグリコール酸より随分少ないと言われているんだよね!
なぜかというと、1式で切れたKSSRが疎水性だし、イオン化したRSHも疎水性なので反応しにくくRSSR(ジチオ)になりにくいんだよね。
だからチオグリコール酸よりKSSR(ミックスジスルフィド)が多くなってしまう可能性があるんだ。
んでミックスジスルフィド自体は施術後にちゃんとしたシャンプー・トリートメントやアイロンの加熱によって取れていくんだけど、そのミックスが取れたもんが、言わば切れっぱなしのシスチンだからね。
ま〜簡単にいうと、システアミンをチオグリコール酸と比較したら…
ミックスジスルフィドでのダメージ感はチオより全然少ないけど、できる量は多めになるので酸化不足になりやすく、切れっぱなしのシスチンも多めになる。
ただこれはシステアミンだけじゃなく、システインも同じような感じだし、スピエラなんてシスアミよりもっと疎水性が強いし髪の内部に侵入するのでスカスカ度はもっと上だね。だからスピエラやシステアミンやシステインでパーマを繰り返したらどんどんかかりにくくなっていくんだよね。
>またシスアミを使う場合、この残留という問題に対しては傷ませない方法はございますか?
残留という問題は関係ないってのは理解できたよね…
システアミンは疎水性が高いのでKSSR(ミックスジスルフィド)が多くなるって問題を軽減する方法はね..
システアミン100%じゃなく、チオグリコール酸を配合すると良いんだよね!
疎水性のシステアミンだけじゃなく親水性のチオグリコール酸を混ぜてハイブリッド化してあげることで反応を動きやすくしミックスを減らして、KSSKの減少を最小限にすることが出来るってことなんだよね。
システアミンとチオグリコール酸のミックス処方で作られてる還元剤といえば、うちのDO-SカールLシリーズなんかが代表的な薬剤だよね↓
DO-SカールLシリーズは試行錯誤を繰り返して、システアミンとチオグリコール酸を絶妙な比率でハイブリッド化し還元酸化の邪魔になりそうな成分も排除し、出来るだけミックスの生成を少なくするように考えて作っているんだ。
システアミンは、表面付近の還元がほとんどなのでプリンとしたしっかりカールで作りやすいし、2剤酸化がしっかりしやすいのでパーマの持ちが良いなどのメリットもあるので、DO-SカールLシリーズのように計算されたハイブリッドにすることで切れっぱなしのシスチンを減らし、繰り返しても極端にかかりにくくならないような現場で使いやすい還元剤になる可能性もあるんだよね。
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