DO-Sパーマ薬剤でコールドパーマのやり方、考え方を教えてください。

DO-S的 パーマ解体新書

場末のパーマ屋の美容師日記は筆者の森下秀彦が現役美容師だった頃に書き始めたブログでした。

現役美容師だった頃はヘアカラー比率もパーマ比率も50%は楽に超えてるような感じで、そのブログはまさにヘアカラーやパーマ・縮毛矯正の施術例がメインで多くのアクセスを頂き、美容専門誌で何度も特集記事を作らせてもらってました。

場末のおパー屋の美容専門誌での特集記事の画像

 

その美容専門誌で知り合った日本におけるケラチン研究の第一人者である新井幸三博士に毛髪・パーマ理論のもっと深い部分も沢山教えてもらいました。

今まで美容師がみんな信じていた「パーマや縮毛矯正の中間水洗で還元剤が流れる」は全くの間違いで中間水洗しても流れるのはジチオジグリコール酸ぐらいでイオン化されていない還元剤はそう簡単には流れない!などや応力緩和やジチオ増加によるパーマの逆行反応とか、アシッド剤によるS-S再結合の邪魔や皮膜による結合水の減少問題など…

それらの新井博士の正しい理論を元にして場末のパーマ屋はパーマ・毛髪理論をどんどんブラッシュアップさせていったのです。

 

メールで美容師さんからこんな質問を頂きました。

・・・・・・・・・

以前パスワードを教えていただいた事があるのですが失念してしまいました、再度教えてください。アドレス、勤めていた店は過去のものとは違うと思いますので記載いたします

因みに今の店舗ではパーマ比率が多くハードパーマが多いお店です、針金パーマもやったりしています。

DO-S様のパーマとは少し対極にあるハードなパーマでチリチリの黒人さんみたいにすることもあります。その時のDO-S様のお薬の使い方や考えをお聞かせいただけたらと思います。

文章がまとまってなくて申し訳ありません

 

又ハードパーマの話とかなり方向性が変わるのですが、私の美容の先生はケミカルオタクな方でした。色々な方の講習やネットワークで繋がりマゴ汁も使うような人でした。
あまり勉強が好きではない私はなんとか話ができるように場末のパーマのブログに辿り着き読ませていただいてました。ただ色々飛びすぎてどこから読んでいいのか分からないくらいで(汗)

先生は矯正の一剤にマゴ汁混ぜたり、カラー剤にマゴ汁混ぜたり、アルカリ除去にシャンプー台にお湯張ってクエン酸ぶっ込んだり、究極(お客様には施術しませんが)イソジンでとか言っていました。
先生とは疎遠になってしまったので今はもっとアップデートしていると思いますが、ブログを読んでそれではアルカリ除去できないのかと思いDO-S様の商品も購入を考えております。

・・・・・・・・・・

ちょいと順序が逆になるけど、後半の部分からお答えするね。

まず、、、マゴ汁ってのはシェラックコート(ラックコート)と言われるカイガラムシの分泌する虫体被覆物を精製して得られる樹脂系のコーティング剤だよ(笑)

一応食用にも使えるコート剤なんで天津甘栗やレモンやオレンジを艶々にするために塗ってる樹脂だね↓

 

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こんな樹脂コーティング剤を縮毛矯正やヘアカラー剤に混ぜても… ただコーティング剤になるだけなんだよね(笑)

 

あと>アルカリ除去にシャンプー台にお湯張ってクエン酸ぶっ込んだり

シャンプー台にクエン酸をぶっ込んでも酸度が少なくpHが低いので収斂するだけでアルカリ中和や除去は絶対に不可能ですね。あとイソジンなんて歯も溶かすぐらいの強酸性なので絶対に使っちゃいけません(汗)

まず酸性と酸度の違いがわからないとパーマや縮毛矯正、ヘアカラーのアルカリ中和はできませんね。

詳しくは↓

カラーやパーマのヘアダメージにはアルカリ中和、除去するのが大切!

ヘアカラーやパーマ、縮毛矯正のアルカリを積極的に除去するには、酸度のしっかりとあるDO-Sアシッドで中和して除去能力の高いDO-Sシャンプーが必要だと思いますよ。

 

>DO-S様のパーマとは少し対極にあるハードなパーマでチリチリの黒人さんみたいにすることもあります。その時のDO-S様のお薬の使い方や考えをお聞かせいただけたらと思います。

大きなカールでプリンとかけるのも、ハードなコールドパーマもダメージを出来るだけ軽減しながらしっかりと還元しないといけないってのは同じなので対極ではなく同じようなもんだよ。あと本物のパーマ理論はすべてに共通してるし、実はとてもシンプルなものなので安心してね。

んじゃ、今日は還元をしっかり行うという感じなので酸性パーマは省いてアルカリコールドパーマでのお話をすすめていくね。

 

【DO-S式パーマ理論】前処理から1剤(還元剤)の選び方

まず大切なのは、薬剤の浸透の妨げになるような表面皮膜を除去するためにDO-SシャンプーやDO-Sプレアフターシャンプーでちゃんと洗うという前処理です。

一般的なヘアダメージ軽減のため前処理剤は、毛先と中間〜根元部分のダメージ差を平均化する場合を除いては基本的に行いません。
なぜかというと、これらの前処理剤は何かの成分を塗布して1剤の還元反応を抑えて(マイルドにして)ダメージを少なくするという働きがあるのですが…

DO-Sパーマ理論ではわざわざ前処理剤で還元を抑制するより、還元剤(パーマ1剤)のアルカリを低くするなど薬剤自体のパワーを調整したほうが計算しやすく失敗が少ないと思うからです。

※毛髪ケラチンの類似成分であるPPT類を前処理で使用する場合もありますが、こちらは類似成分を入れると、それらのおかげで見せかけでかかりの良い仕上がりになる場合もありますが、あくまで見せかけですのでケラチンが流れ出ると同時にパーマが取れてしまい持続性が悪くなる可能性がありますのでこちらも使用しないほうが良いでしょう。

あと、パーマの前処理剤やパーマ1剤に感触向上成分などを沢山入れてしまうと還元の邪魔だけでなく、それらが切断されたシスチンに吸着してしまい2剤で再結合するときの邪魔をしかねないという危険性もあるのです。

 

DO-Sのパーマ剤なのですが、DO-Sのパーマ剤は1剤も2剤も2種類あります。

チオグリコール酸2%、システアミン4%のハイブリットタイプのDO-SカールLシリーズが3種↓

チオ:シスアミ→1:2という黄金比率で作られていて、カール形成力に優れています。

そしてみんなが使いやすいベーシックなチオグリコール酸6%の1剤(画像左の3本です)DO-Sチオローションシリーズ↓

どちらの1剤(還元剤)も一番大切にしてるのは『2剤の酸化作用を出来るだけ効率よく出来るような還元剤』です。
そう感触向上成分などの余計な成分が少ないので2剤のS-S再結合の邪魔をしないで、パーマのかかりや持ちが良くなりヘアダメージも少なく出来るという特性を一番に考えて作っています。

還元の邪魔になりそうな余計な感触向上成分や皮膜成分等が最小限なので、1剤のパーマのかかりは還元剤の濃度は高い(濃い)ほど、pHが高い(アルカリ)ほど強くなるのですが、DO-Sの還元剤は還元剤濃度はまったく同じでpH・アルカリ度でかかりの強さを調整できるようにしてますので美容師さんが還元自体をとても計算しやすくなっています。
これにより前処理剤を使用して還元力を弱めなくてもpHを適切に設定することで美容師さんが還元力を計算しやすくなり失敗が少なくなるというメリットがあります。

DO-SカールLシリーズかチオローションシリーズかは、シスアミ独特の匂いがあるけど少しpHが低くてもしっかりかかるカールLシリーズか、昔ながらの扱いやすいチオローションシリーズか、好みで選べばOKです。

DO-Sのパーマ1剤はどちらも余計な添加物の少ないシンプルで計算しやすい設計になっています。

詳しくは↓

DO-Sのパーマ剤を使用しよう!液体還元剤編

DO-Sのパーマ剤を使用しよう!液体還元剤編
このブログ「場末のパーマ屋の美容師日記」では理美容師さんが使用する パーマ、縮毛矯正、ヘアカラーの薬剤をオリジナルで開発して 製造販売しています。前回までの記事↓DO-Sの薬剤を使用してみたい!DO-Sのパーマ、縮毛矯正、ヘアカラー剤の特徴...

 

【DO-S式パーマ理論】テストカール〜還元進行

昔のパーマ理論では、1剤での還元後に中間水洗することで還元剤を流し還元反応をストップすると考えられていましたが、実はこれは間違いで現在のパーマ理論では『中間水洗をしてもイオン化してない還元剤は流れない』となっています。
そのため中間水洗やスポイド水洗しても還元はストップしないで、逆にジチオが流れる事で還元は進行するというのが正解です。

詳しくは↓

なぜジチオを流すと還元が促進されるのか?

なぜジチオを流すと還元が促進されるのか?
どうも〜 場末のぢ〜ぢです♩美容院でのメインメニューであった パーマ平成になり どんどん 減っていき今では 少数派と言ってもいいぐらい・・・場末のパーマ屋としちゃ これじゃいかんじゃろ!って ことで パーマ理論を見直すシリーズ前回の記事↓ジ...

イメージ的にわかりやすく解説すると、ハードパーマをかけてる時に何度かテストカールしてると髪質によるけど何分間かすると還元度合いがゆるくなるでしょう!?
あれは髪の内部に反応したジチオジグリコール酸が増えすぎてしまって還元反応の邪魔をしてるんだよね、そこでスポイド水洗とかでジチオジグリコール酸を流すと、また還元反応がしやすくなるんだね。

ここで、ノンカラー毛や硬毛・太毛にハードパーマをかけるときにとても重宝するのが↓

DO-S応力緩和水、pH9 アルカリ度1.4のお水です。

かかりにくい髪質で強く還元が必要なときにこいつでスポイド水洗してジチオジグリコール酸を流すと還元がより進行しやすいです。

 

【DO-S式パーマ理論】2剤の酸化とアルカリ除去

還元剤でS-S結合を切断し、髪の形状を変化させて酸化剤で再結合する、これがパーマの基本理論です。ただ多くの美容師さんは1剤の還元反応を重視する傾向がありますね。

最新のスピエラやGMTとか弱酸性や中性とか、この処理剤を添加・使用すると薬剤がマイルドになりダメージが少なくなるとか…
でも残念ながら還元剤を優しくしたり処理剤を使用してもパーマのかかりがゆるくなるだけで、同じかかりにするためにS-S結合を同じだけ切断したらヘアダメージなんてほとんど変わりませんからね。
還元剤を優しくしたり処理剤を使用すると本来100個のS-S結合を切るところが70個とかになるだけなのです。そこで放置時間を長くしてり加温などで同じかかりにしようとすると、結局100個のS-S結合を切るのでダメージはそんなに変らないということなのですね。

『パーマは2剤でかけるべし!』これは場末のパーマ屋が美容師さん向けのセミナーでよく言っていたことなのですが、還元剤で100個のS-S結合を切断しても、2剤の酸化剤で50個しか再結合しないのと80個が再結合するのではヘアダメージも持続性も全く変わってしまうのです。

パーマは2剤での酸化反応がもっとも大切です! これは十分に理解しておきましょう。

 

ということで一番大切なのは、1剤で切断されたシスチンになんらかが付着すると再接合の邪魔になりますので…

2剤前にアシッド剤や感触向上剤などの処理剤が絶対に使用しないで下さい。

詳しくは↓

【本当のパーマ理論】パーマ2剤前のアシッド剤が間違いの元です。

【本当のパーマ理論】パーマ2剤前のアシッド剤が間違いの元です。
「パーマの時にどのタイミングでアルカリ除去をしたら良いですか?」理美容室でパーマ施術をする時、多くの場合パーマの1剤はpH9前後のアルカリ性の薬剤を使用することが多いです。髪や頭皮は弱酸性の状態が良く、強いアルカリ性の薬剤では溶解したり薬剤...

こちらはアシッド剤のお話ですが、他の処理剤でも起こりうる事なので2剤の前には何もつけない!っていうのを必ず守りましょう。

そしてよく質問をいただくのが、2剤の前にシャンプー台で中間水洗をしたほうが良いのか?って質問なのですが…

これはパーマでのヘアダメージについてはどちらでもそう大差はないのですが、パーマ1剤に含まれる乳化剤などの成分を除去する意味はあると思います。ただ前記したように中間水洗するとジチオを流すので還元が進行してかかりが強くなりますのでテストカールしてもう少し強くしたいというタイミングで行う必要があります。

あと2剤にはブロム酸とオキシドールの2種類がありますが、こちらは好みでどちらでも構わないと思います。ただし放置時間などはしっかり守りきちんと酸化するようにしてください。

※オキシドールの2剤を使用した場合はOX-ZEROなどで除去しておきましょう。

 

そして2剤の後に必ず行ってほしいのが『アルカリ除去』だ。

これは冒頭に書いたように酸度の少ないクエン酸水なんかじゃ絶対に不可能!

DO-Sの製品でいうと↓

do-sアシッドの画像

酸度のしっかりあるDO-Sアシッド一択だね!

これを1剤のpH・アルカリ度に合わせて原液から2〜3倍に薄めて2剤の放置時間後にしっかりと塗布して2〜3分置きましょう。
そうしてDO-Sアシッドでアルカリ中和してある状態でDO-SシャンプーもしくはDO-Sプレアフターシャンプーできちんと洗ってアルカリ除去しましょう。

んでパーマ後のホームケアでは、アルカリパーマの場合にはその強さに合わせて一定期間DO-Sアルカリオフを使い、DO-Sシャンプー&DO-Sトリートメントで出来るだけ表面皮膜を貼らず残留薬品を除去するようにオススメします。

 

これが、中性からアルカリ性の還元剤を使用したDO-S式のコールドパーマのやり方ですのでなにかの参考にしてもらえればと思います。

 

 

質問者さんへ…

文章が長くなってしまって公開が遅くなってごめんね。

 

DO-S業務用商品を使用してみたい理美容師さんは↓

DO-S理美容師限定記事と理美容室専用の業務用商品について

DO-S理美容師限定記事と理美容室専用の業務用商品について
このブログ 「場末のパーマ屋の美容師日記」は2010年の7月から書き始めています。最初は DO-Sシャンプー&トリートメントの販売をスタートし今では 多くのヘアケア、スキンケア商品や理美容師さんの業務用の パーマ剤、縮毛矯正剤、ヘアカラー剤...

 

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