トリートメントをする人ほど髪が傷む?ヘアケアの歴史から紐解く「すっぴん髪」の本質

トリートメントをする人ほど髪が傷む?ヘアケアの歴史から紐解く「すっぴん髪」の本質 髪の傷み・ヘアダメージ

美容室で毎月のようにサロントリートメントをして、お家でも美容師おすすめの高級ケア製品を使っている常連のお客様。

「施術直後はツヤツヤでサラサラなのに、次回ご来店された時には、前回よりも確実に髪がボサボサになっている……」

「ヘアダメージを治すはずのヘアトリートメントなのに、なぜか前より髪が傷んでる!?」

現場で多くのお客様の髪を見てきた美容師なら、一度はこのような疑問を抱いたことがあるはずです。

逆に、トリートメントにほとんど無関心な人の方が、綺麗な髪を維持できていたりします。

なぜ、良かれと思って行うヘアトリートメントが、髪のダメージを加速させてしまうのでしょうか?その本質を理解するために、日本のヘアトリートメントの歴史を振り返ってみましょう。

 

昭和時代:画期的だった「PPT(ケラチン)」の登場と限界

今から約30年前の昭和の時代、美容業界に「PPT(ポリペプチド)」という画期的な成分が上陸しました。

ここで初めて「ケラチンタンパク質」や「分子量(成分の大きさ)」という概念が広がります。

髪と同じ成分であるケラチンを髪の内部(ダメージホール)に入れ込んで補修する仕組みは、当時としては夢のような技術でした。

低分子ケラチン: 粒が小さいため、キューティクルの隙間から髪の内部までしっかり浸透する。

高分子ケラチン: 粒が大きすぎるため、内部には入れず表面に付着するだけ。

しかし、この画期的な技術には「最大のデメリット」がありました。

昭和時代:画期的だった「PPT(ケラチン)」の登場と限界

初期PPTの弱点 キューティクルの隙間を通り抜けられるほど小さな低分子ケラチンは、

「シャンプーをすれば、いとも簡単に髪の外へ流れ出てしまう」という性質を持っていたのです。

つまり、その場限りの一時的な効果しかありませんでした。

 

諸悪の根源:「持続性」を求めて生まれた表面コーティング

せっかく浸透させた栄養成分を、なんとか髪の中に留めたい。持続(持ち)を良くして、お客様に喜んでもらいたい。

そう考えたメーカーや理美容師が最初に行った対策が、のちの悲劇を生むことになります。

それが、「表面をシリコンやポリマーでガチガチに固める強力なコーティング(皮膜)」でした。

昭和の終わりから平成にかけて、高性能なシリコンや「キューティクルコート」と呼ばれるホームケア製品が大ヒットします。

しかし、この過剰なコーティングによって、以下のような重大な副作用が露見し始めました。

  • コーティングのせいで、パーマがかからない、カラーが染まらない。
  • 被膜が剥がれる際に、実際のキューティクルまで一緒に引き剥がされる。
  • コーティングが落ちた時、施術前よりも確実に髪がバサバサに傷んでいる。

 トリートメントの諸悪の根源は「持続性」を求めた表面コーティング

平成〜令和:ノンシリコンブームと「付加価値メニュー」の思惑

やがて平成に入るとヘアシャンプーでの「ノンシリコンブーム」が起こり、過剰なコーティングの危険性が広く知られるようになりました。

本来ならここで、美容業界は「引き算のヘアケア」へと方向転換すべきだったのです。

しかし、美容業界には別の事情がありました。

平成〜令和:ノンシリコンブームと「付加価値メニュー」の思惑

サロントリートメントは、美容室にとって「客単価を上げるための重要な付加価値メニュー(高単価メニュー)」になっていたのです。

トリートメントの「演出効果」という側面 高額な料金をいただく以上、「ただ塗って流すだけ」ではお客様が納得しません。

そのため、複雑な工程、何種類もの薬剤の塗布、特殊な機械の使用といった 演出効果 を組み込む必要がありました。

強力なコーティングが髪を傷めることは分かっている。

でも、トリートメントメニューの持続性は落としたくない。

そこで開発されたのが、前回の記事↓

サロントリートメントで髪が傷む理由とは?すっぴん髪(素髪)理論の基本

でも紹介した「内部で成分を絡ませる、巨大化させる、キューティクルを無理やり開閉して閉じ込める」という、現代主流の流出防止テクノロジーです。

 

「コーティングを控える=すっぴん髪」という誤解

現代のサロントリートメントは、昔のようなギラギラした過激なコーティングを控え、髪の内部に成分を閉じ込める工夫が凝らされています。

そのため、多くの人は「過度なコーティングをしない軽い仕上がりのトリートメントこそが、素髪・すっぴん髪なのだ」と誤解してしまいがちです。

確かに、強力な被膜を張らないことは大きな違いです。

「コーティングを控える=すっぴん髪」という誤解

しかし、強力な被膜(コーティング)が髪に悪いのは「大前提」の揺るぎない事実であり、

それだけで「すっぴん髪」が完成するわけではありません。

では、一般的な「コーティングを抑えたトリートメント」と、私が提唱する「本当のすっぴん髪理論」の決定的な違いとは何なのか?

いよいよ次回、その核心へ迫ります。

 

※2016年9月10日に書かれたブログ記事をリライトしました。

 


この記事を書いた人:森下 秀彦(場末のパーマ屋)
「世の中のヘアダメージで本気で悩む人を救いたい」という想いのもと、2010年よりブログを通じた情報発信を続ける元美容師。現在は独自の毛髪理論の普及とともに、髪の傷みを本質から改善するための専門サイト『髪の傷みを改善する美容師コラム』の運営・執筆も行っています。

[筆者のより詳しい「研究実績・専門経歴」はこちら]

 

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コメント

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  4. みち より:

    dosシャントリを二年ほど使っていますが、トリートメントのみシャンプーの二倍くらい早く無くなります。
    髪はショートです。今の使い方で、さほどトラブルはないですが、流す時、髪がキシキシします。
    こんな使い方で良いのでしょうか。
    500円玉くらい、使っているつもりなんですが。

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